飲食店営業許可申請について②
3.飲食店の営業許可証取得までの流れ
*前回の続きです。
3-1.保健所に事前相談をしておく
営業許可を取得するには、まず保健所への相談が重要です。また、検査に合格するには細かい要件がありますが、ローカルルールなどもあります。
工事後に指摘を受けた場合、設計や工事のやり直しの可能性もあるので、工事前に設計図を持っていき管轄の保健所に確認するといいでしょう。
窓口に行けば無料で相談できるため、初めての方は事前に相談しておくようにしましょう。
3-2.営業許可申請を提出する
必要な書類を作成・準備し、保健所に営業許可申請を提出します。
事前相談で図面に問題がない事の確認が取れたら工事を開始できます。工事が終了した時点で、施設検査を受けられるように早めの提出をしましょう。
3-3.施設検査を受ける
施設検査時に見られるポイントや気をつけるポイントを一部抜粋しました。
①照明
自然光が入り、お店全体が明るい
100ルクス以上の明るさがある
②厨房内
食器棚は扉付である
掃除しやすい床や壁である
二槽シンクがある
ふた付きのゴミ箱の設置
窓には網戸の設置
③トイレ
厨房から離れていて、衛生的に問題ない
手洗い場が設置されている
④冷蔵庫
厨房内に設備が収まっている
冷蔵庫・冷凍庫に温度計が付いている
⑤厨房と客席の分離
厨房と客席を隔てる仕切り
3-4営業許可証を交付してもらう
検査が終われば、「営業許可証」が交付されます。
交付予定日は検査の時に伝えてくれます。また、交付方法は窓口や郵送など各自治体により異なりますので、事前相談や検査の時に確認しておくようにしましょう。
4.営業許可申請に必要な書類
①食品衛生責任者の資格を証明する書類
食品衛生責任者になることができる資格を持っている方は、その資格を証明する書類を準備します。
資格を持っておらず、講習を受講した方は修了証書や手帳などになります。
②飲食店営業許可申請書
飲食店営業許可申請書は、管轄の保健所窓口や各都道府県の自治体ホームページから入手できます。保健所により形式が違う場合があるので、必ず管轄内の保健所の用紙を使いましょう。
必要事項を記入し、不明点がある場合は、空欄にして提出時に確認します。
③場所の見取り図
お店の所在地がわかる地図を記入します。詳細に記入する必要はありませんが、最寄駅や目印となる建物などを入れ、だいたいの場所がわかるようにしましょう。また、ネット上の地図を利用しても構いません。
④営業設備の大要・配置図
営業設備の大要とは、店舗内設備の概要や配置をリスト化したものです。自分のお店で該当するものを記載していきます。また、こちらの用紙も管轄の保健所窓口や各都道府県の自治体ホームページから入手できます。
⑤内装の配置の平面図
配置の平面図とは、お店の厨房と客席の配置などを確認するものです。設計図などを参考にし、正確に作成しましょう。また、内装工事業者に依頼することも可能です。
⑥水質検査成績書(貯水槽や井戸水を利用する場合)
利用する水が、貯水槽や井戸水の場合、水質検査成績書が必要です。ビルなどにお店がある場合、共用の貯水槽から水を引くことが多いので、ビルの管理会社や大家に問い合わせましょう。
⑦登記事項証明書(法人が申請する場合)
営業許可を申請するのが法人の場合、登記事項証明書が必要になります。登記事項証明書には会社のさまざまな情報が記載されていますが、重要なのは「目的」の欄に「飲食店経営」が記載されているかです。
必ずしも「飲食店経営」の文言が必要とは限らず、許可がおりる場合もありますが、事前に保健所に確認しておきましょう。特に、途中で事業の内容を変更した会社は注意が必要です。
⑧営業許可取得にかかる費用
飲食店の営業許可を取るには申請料金がかかります。申請料金は飲食店の種類や地域、保健所によって異なります。一般的な飲食店を開くための「飲食店営業」は約1万6,000〜1万9,000円が相場です。
このように業務形態によって異なるので、事前に保健所などで確認しましょう。
5.営業許可証の有効期限と更新
営業許可証は1度とったら永久に有効ではなく、更新が必要です。開業後に衛生面で大きな変化があったり、設備が壊れていないかなどのチェックをするため、一般的には、5〜8年ほどの有効期限が定められています。
更新手続きは有効期限の1か月前までにおこないましょう。必要なものは飲食店営業許可証と更新料で、保健所窓口で手続きをおこないます。その後、施設の検査があり、合格すると新しい営業許可証が届きます。
また、申請に時間がかかる場合もありますので、余裕をもって手続きしましょう。
更新を忘れて、期限が切れたまま無許可営業をした場合、「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」が課される可能性があります。忘れずに更新をしましょう。